いざと言う時の、AEDの使い方

皆さんは、 AED(Automated External Defibrillator)をご存知でしょうか? 日本語に訳すと 「自動化された、体外式の、除細動器」となります。

電気ショックを与える機械、というイメージは御存知だと思いますが、どのような病気に使うのかまでは医療者以外はあまり認識されていないのではないでしょうか。

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1 AEDについて
1.1 AEDは、どこに設置されているのかご存知ですか?
1.2 どんな形なのでしょうか?
1.3 どんな疾患に使うのでしょうか?
1.3.1 心室細動とは、
1.3.2 心室頻拍とは、
1.4 AEDの使用方法はどうするのでしょうか?
1.5 心停止が続いたらどうなるのでしょうか?
2 まとめ
AEDについて

今回は、このAEDについて御説明させていただきたいと思います。

AEDは、どこに設置されているのかご存知ですか?

大体、大きな駅、空港、飛行機、新幹線、フェリー、 学校、スポーツ施設、公共施設、大規模な商業施設、温泉施設、遊興施設など、どこにでも設置されているといっていいと思います。

どんな形なのでしょうか?

色々なものがあります。これが1つの問題でもあると思いますが、メーカーによって形が異なっていますが、使用方法はすべて同じです。

どんな疾患に使うのでしょうか?

心室細動と無脈性心室頻拍です。

心室細動とは、

心室が細かく動くという名前の通り心室が全体として収縮せず、一部が不規則に収縮し 、小刻みに揺れているだけの状態です。

心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割をしているわけですが 、心室細動の 時は細かく揺れているだけで心室が収縮していないため 、ポンプの働きはありません。

心室頻拍とは、

心室が頻繁に拍動するという名前の通り、心室が速いテンポで拍動している状態です。

心臓が血液を送り出すためには、1に心臓が拡張して血液を心臓に貯める、2に心臓が収縮して血液を送り出す、この2つの過程が必要となりますが、心室頻拍の時は、心臓があまりにも早く収縮するため1の過程が出来なくなっており、結果として空打ちの状態となっています。

このように、上記の2疾患は心臓のポンプ機能が失われているため全身からしてみれば動いていないに等しい状態であり、「心停止」の状態なのです。

電気ショックを考慮する疾患はこの2つを考えます。ちなみに病院では、その他の不整脈にも電気ショック治療を行うことがあります。

AEDの使用方法はどうするのでしょうか?

大前提として、

呼びかけや揺さぶりに対して反応がないか?
呼吸をしていないかを確認します。
2つが確認出来たら心臓マッサージを開始します。
緊急事態で一人では対応が困難ですし、なにより不安になることは当然です。人を集めて、救急車を呼んでもらい、AEDを持ってきてもらいます。
AEDの電源を入れ、指示に従いパッドを 貼り付けます 。難しいかもし れませんが 、 この間も心臓マッサージは続けます。
するとAEDが心電図の解析を始めます。この時は心臓マッサージを止め 、倒れている人に触らないようにします。
上記の疾患であれば、AEDが電気ショックの必要性を判断し、充電を始めます。
充電が完了するとショックボタンが点滅するので、自他共に倒れている人から離れショックボタンを押します。
ショック後は、速やかに心臓マッサージを再開します。AEDはその間も 心電図解析を続けてくれ、必要であればショックを指示しますのでそれに従います。
繰り返しになりますが、これは一人では行わ ないでください。必ず人を呼び、救急車を待つ間に試みるようにしましょう。
心停止が続いたらどうなるのでしょうか?

心停止に陥った後、電気ショックが1分遅れるごとに救命率が7~10%ずつ低下すると言われており 、10分以上放置されるとほとんど助からないとされていま す。

救急車が現場に到着するまではおよそ6分かかるとされており、この時点で救命率は40%です。発見してすぐに心停止を解除することができれば、救命率は格段に高まります。このことから、迅速な心停止の解除が求められるのです。

まとめ

心室細動と無脈性心室頻拍はいずれも恐ろしい病気ですが、見方を変えると「 電気ショック治療により救命できる可能性の高い病気」であり 、AEDの使い方を知っておくことは非常に大切なことです。

いざという時に備えて、今一度AEDについて理解を深めて頂けると幸いです。

口内ケア

平成24年度から、周術期回腔機能管理が新たに保険適用となりました。

がん治療に伴う口腔のトラブルの予防と軽減を図り、安全で質の高いがん治療を円滑に進めていくためにも、がん治療の前から口腔内の環境を良好にしておくことが大切です。

義歯や歯のつめものが不調で「かみ合わせが悪い」、「痛い」という状態だと、食事が困難になります。しっかり栄養が摂れないと、がん治療にも支障が出ます。そこで今回は、治療前にしておきたい口腔ケアについてお話したいと思います。

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1 口腔ケアの重要性について
1.1 セルフケアは歯磨きが重要
1.2 歯ブラシの当て方について
1.3 舌のケアについて
1.4 義歯のケアについて
2 終わりに
口腔ケアの重要性について

がん患者だからと言って何も特別なケアの方法があるわけでは有りません。ケアのポイントとしては、以下の3点が挙げられます。

口腔内のチェック
クリーニング(クリーニングとは、歯や義歯についた細菌を除去することです。歯や義歯を磨いて、細菌がつきにくく、除去しやすい状態にします)
セルフケアの指導を受ける(がん治療中の歯や歯肉、口腔粘膜、義歯のケア方法を指導してもらいます)
セルフケアは歯磨きが重要

セルフケアにおいて最も重要なのがなんと言っても歯磨きです。そこで、まずは歯ブラシの使い方について述べます。

まず、力を入れすぎないように、持ち方は鉛筆をもつ時のベンクリップをお勧めします。

ブラッシングに際しては1歯ずつ、 小刻みに動かしましょう 。硬さは、硬すぎず、ヘッドが小さいものを使いましょう 。交換時期ですが、毛先が開いてしまう前に交換するのがポイントです。

歯ブラシの当て方について

次にブラシの当て方についてですが、

前歯や奥歯の外側は 、歯ブラシの毛先を歯と直角にあてます。
奥歯のかみ合わせ面では 、歯のくぼ みに毛先を水平にあてます。
歯と歯肉の境目や奥歯の内側は、毛先を斜め45度にあてます。
前歯の裏側は、歯ブラシ縦にあて、歯ブラシのかかとを使って縦方向に 動かします。コツはカを入れすぎず、痛くない程度に小刻みに振動さ せ、1本の歯の全ての面を、1~2本づつ 、細かくみがくことです。歯ブラシの角度を変えて 、いろいろな歯の面にきちんと毛先が当たるように 工夫することも効果的です。
また、磨く順番を決めて、一巡するように磨くと磨き残しが防げます。
歯と歯の間を磨く際には、デンタルフロスを用いて、隙間の両側の歯の側面を上下にこするように掃除します。 フロスは指に巻きつけてピンと張り、上下に数回ゆっくり動かして下さい 。
舌のケアについて

舌のケアについてお話します。舌の表面には、多くの細菌が付着しています。舌のブラッシングは、細菌数を減らし、口臭の予防効果があります。専用の舌ブラシや超軟毛の歯ブラシを使用して軽い力で磨いて下さい。

義歯のケアについて

最後に義歯のケアについてですが 、義歯用歯ブラシや歯ブラシで、義歯を外して磨きましょう 。特に義歯が接触する粘膜面の汚れは炎症の原因になりますので、よく磨きましょう。

義歯のバネの部分もよく磨きましょう 。目で見えない汚れは、義歯洗浄剤で除菌しましょう 。

もし 、バネが変形したり、義歯が入りにくくなっ た場合は、 自分で調整せずに歯科医に診てもらってください。

終わりに

口腔ケアについて説明つさせていただきました。文字だけでは中々伝わりにくいと思いますが、 ご不明な点は、歯科医や歯科衛生士にお尋ねください。

若い人も高齢者も同じ!

入院患者さんの中には食事が食べれない患者さんもいらっしゃいます。「ご飯と漬けもんだけでいい。」とおっしゃる方もいるぐらいです。

けれども、高齢者が必要とするたんぱく質(主に肉・魚・卵・大豆製品・乳製品)量は20歳前後の方と変わりません。「ご飯と漬けもん」だけではダメなのです。

筋肉はたんぱく質からつくられている!?

たんぼく質を摂ることで私たちの筋肉はつくられていきます。肉も魚も、若いもんに負けないくらい食べて下さい(ただし、腎機能が落ちている方は必要たんぱく質量は変わってきます)。

栄養不足が続けば「栄養状態不良」となり治療に影響してきます。人間は食べ物が口に入ると歯と舌、ほほなどを使って上手に食べ物をすりつぶしたり 、まとめたりして飲み込みやすい形にしていきます。

でも、その機能は加齢と共に落ちてきます。固い物が食べづらい、飲み込みにくい、水分でムセる、といった問題が出てきます。

ご家庭での高齢者の対応ってどうすればいいの?

もし、ご家庭でおじいちゃん、おばあちゃんが固くて食べられない、上手に飲み込めないなどありましたら少しだけ、食事の工夫をしてください。

そうすることで、三度三度の食事がしっかり食べることができ、栄養不足を防ぐことができます。

また、食べにくくなったからといって刻んでしまうと逆に口の中でばらけてしまって誤嘩しやすい形態となってしまいます。他に食べにくい食品としてはパン、めん、団子や餅などがあります。

自宅でできる高齢者の食事の工夫として

軟らかめの食事を用意するには

薄切りの肉を使う。
圧力鍋を使う。
市販の酵素(スーパーに売っています)を 使って肉を軟らかくする。
飲み込みにくくなつたら

ミンチ肉に山芋のすりおろしや卵などを混ぜて調理する。
とろみ剤(ドラッグストアなどにあります)を使ってあんかけにする。
ジュレ状ドレッシング(とろみの付いたドレッシングです)を使う。
マヨネーズで和えてまとまりやすくする。
などが挙げられます。
終わりに

最近では、軟らかいお食事や飲み込みやすい食事も市販されています。必要に応じて取り入れながら、上手に食べていきましょう。

それでも「食事中にむせる」「飲み込みにくい」「胸に食べ物が残っている感じがする」「痰(たん)が絡んだ感じがする」などありましたら早めの受診をお勧めします。